学校朝会にて

本日の学校朝会で、次のような話をしました。

 

「この土日に中東で大きなニュースが飛び込んできました。シリア情勢が大きく変化したという話が入ってきています。テレビや新聞では大きく報道されていませんが、10年以上膠着状態だったシリア内戦で、反政府勢力が第二の都市アレッポを奪還し、近くの空軍基地等も占拠し、首都ダマスカスにも近づいているとの情報です。

中東情勢は一元的な正義と悪という関係では見られないものです。シリアの政府軍を支援しているのが、ロシアとイラン、レバノンのヒズボラという組織も関係しています。ヒズボラはイスラエルと戦闘状態にあったことは知っていると思いますが、イランはパレスチナのハマスを支援しています。イスラエルとロシアは元々ロシアにユダヤ人が多く住んでいた関係もあり、比較的良好でしたが、最近は距離が開いています。

逆にシリアの反政府側を支援しているのが、トルコです。トルコは第一次世界大戦で敗戦し、大きく中東からのプレゼンスが後退してしまったのですが、ものすごく影響力をもった大国でした。ロシアがウクライナ戦争でリソースをシリアに回せなくなったことにより、今回のシリア内戦が動いた面があります。2年前にはアゼルバイジャンのナゴルノカラバフ地域での紛争にも、トルコと密接に関係するアゼルバイジャンが勝利し、中東からコーカサス一帯のトルコの影響力が増してきています。ロシアがウクライナとの戦争で力をウクライナに裂かなければならない状況下で、相対的にこれまでロシアの影響下にあった地域の影響力が下がっている現実があります。歴史的に大国であった、トルコ、ロシア、イラン(ペルシャ)の力のバランスの崩れが、こういった状況を生んでいます。ここからどのように展開していくのか、ウクライナ情勢とも絡んでいきながら大きな変化が生まれそうな状況です。シリア内戦の状況変化が様々部分と複雑に絡んでいますので、シリア政府側(反政府側)が正義OR悪という一元的な見方では、正しくものを見ることができません。

「ググる」という言葉が使われることがあるように、何か分からないことがあるとインターネットの検索サイトで検索することが多いと思います。グーグルの検索結果の上位には、広告料を払ったサイトが上位にきたり、SEO対策といって、サイトの検索にひっかかりやすくするように工夫したサイトが上位にきたり、過去10年以内に更新されているサイトでないと表示されないというフィルターがかかっています。ネットも新聞やテレビも何らかのバイアスがかかっているということを分かった上で、様々な視点から、様々な情報を得て、しっかりと判断していくことが大切です。」

一つの情報を鵜呑みにすることなく、様々な角度から情報を分析して判断していくことは、分かっているようでなかなかできません。こういった社会情勢の変化からも、しっかりと背景を理解していけるようになってほしいと思います。

 

その後、学校朝会では連合文化祭の英語学芸発表会に参加した生徒のスピーチがありました。平和についての難しさと考えることの大切さを生徒の皆さんには心に刻んでほしいと思います。